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2006年度第2回研究室中間発表会 [ 研究 ]

卒研生対象の中間発表会が行われたのです.
個別の発表を槍玉に挙げても仕方がないので,総評とコメント.

・発表態度
ウチのボスが全然指摘しないから,恐らく卒研生はそれで良いと思いこんでる.
そんなはずはないし,そんな学生を世に送り出したら恥ずかしい.
そもそも,就職活動とかで,プレゼンテーションを見てきただろうに・・・
「スクリーンの近くに立って説明すること」
座って発表するなんてのは,フォーマルな発表では有り得ない.
かなりカジュアルだ.
もしくは,聴講者を見下しているかだ.

・発表態度
自分もそうだった時期があるからこそ,指摘.
「原稿を読まない」
補助資料としてメモのようなものを持ち込むのはいいとしても,
原稿を読むだけってのは,いけないと思う.
原稿を読むだけということは,自分の言葉ではないわけだ.
だって,その原稿はオレだって読めるからね.
発表の流れは事前に構成されていて然りだが,
発表は自分の言葉で行うべきだと思う.
これはマスコミの影響ですかねぇ・・・
昔のニュースキャスターは原稿なんて見てなかったのにね.
今は完全に原稿を読んでますからね.
そういう影響かな.

・発表方法
前項に重複するが,重要なので書く.
「スライドを読むだけはいらない」
何度言ってもそういうスタイルで発表が行われる.
きっと発表中に頭真っ白になるのが怖いから,そういう準備をしているんだろうが,
そんな準備をするくらいなら,自動で喋れるくらいに練習すればいい.
スライドに書くべき情報は,そのスライドで話すべき内容のダイジェスト.
もっと言うならば,箇条書きで書いてあるべきである.
スライドの内容が文章になってるのは,まだまだスリム化が可能.
スライドの情報量が増えると,聴講者の集中力は著しく低下する.
聴講者に聞かせたいのか,聞かせたくないのか.
発表の目的が何であるのかを考えるべき.

・スライドの構成
各スライドの表示時間が短すぎる.
発表時間が10分で短いのはわかるが,
10分で説明できるように構成するべきである.
「これは飛ばします」とか「この通りです」とか,
説明をしないのならば,スライドに載せるべきではない.
一般的に良く言われるように「1スライド1分」と見積もる.
昔は半信半疑だったが,この見積もりは概ね正しいと思う.
10分の発表だったら,スライド10~15枚程度に抑えるべきである.
この見積もりに従って発表をするとなると,
各スライドの表示時間は1分になるはずであり,
聴講者は十分にそのスライドの内容を把握することができるだろう.
聞き手のことを考えて発表しよう.

・アニメーション
アニメーションの使い所を理解してない.
アニメーションは聞き手の理解を助けるために用いるべきだ.
決して,話し手の都合のために用いるべきではない.
各スライドの表示時間が1分だとして,後出し手法が用いられているとしよう.
最後にアニメーションで登場した文字列は1分も表示されていない.
ましてや,表示してすぐに次のスライドに行くかもしれない.
それを聞き手はものすごい動体視力と洞察力で見極めなくてはならない.
何故に聴講者は発表者に試されなくてはならないのか.おかしい.
オレの発表が上手だとはいわないが,オレはアニメーションを使わない.
情報は最初から全て提示しておけばいい.
隠しておく必要性がどこにあるんだ?
驚かせるための発表ではなく,研究成果の発表である.
都合が悪いから隠すというのならまだわかるが・・・

・主張点と論点
自分がやってきた成果を知らしめたい気持ちはわかるが,
研究の本質ではないことまで話されても困る.
「ACを○○な方法で作りました」っていう主張は,
ACを作るための方法が斬新であるという主張になる.
そうでないのならば,あっさりと言うか,言わないかだ.
オレなら言わない.本質じゃないから.
また,従来研究や既存方式をさも自分の研究の一部かのように発表するのもダメ.
どこまでが過去で,どこからが自分の成果なのか.
線引きが出来ないということは,きっとそれは新しくない.
サーベイレポートじゃないんだから・・・

・発表構成
研究を行うに至った背景.
その研究分野の現状.
従来研究・既存方式とその問題点.
問題点を解決する方法を提案する.
どういうアプローチで問題点を解決するのか.
従来研究・既存方式に比べて,どこが優れているのか劣っているのか.
まとめ.

・質疑応答
何度だって書くが,質問しないということは完全に理解しているのか?
わからないことは皆無なのか?
学会や研究会では,質問が出ないということは,
自分の研究に興味を持たれてないと解釈する.
そんな発表をしてしまった帰り道は,撃沈させられた時よりもションボリとするもんだ.
閑話休題.
少しでも疑問に思うことがあるなら,質問するべきである.
ウチの(いや多くの)卒研生は質問がないことを良いことだと思っている.
「質問でなかった,楽勝ー」とか「へへへ完璧だろ」とか思ってるヤツは思い上がりすぎ.
はっきりと言えば,呆れてものが言えないような発表だったか,
全く興味がないから無視されているかだ.
先輩や先生方から質問がないということは,そういうことです.
質問が出ないような発表をした人は留年でもいいんじゃないですかね.

・発表原稿のチェック
院生がいない班もあるから,なんともかんともだが,
発表原稿のチェックを行うべきである.
少なくとも,原稿作成者以外がチェックを行うべきである.
そうすれば,些細なミスは訂正されるだろうし,的外れな発表も改善されるだろう.
チェックをした結果,そうだとするならば,完全な連帯責任である.
グループで研究をしているのだから,発表者だけが矢面に立って,
強力な聴講者にめった打ちにされるってのはおかしいと思う.
だから発表者の選択でもめるんだろうなぁ・・・