第69回情報処理学会全国大会 コンピュータと人間社会 情報システムと人間社会
2ZAで当研究室の安政君が発表を行ったので,聴講参加してきた.
興味深い発表にコメントを.
・2ZA-4 学校給食における食育・地産地消サポートシステムの研究(岩手県大)
とてもしっかりした発表で,しっかりと実験も評価も行われていて,良い.
学生奨励賞を受賞されていましたが,妥当です.異議無し.
ボスとオレの質疑が会場の興味を惹いていると思わせて,
受賞の決め手になったのかな,と勝手に自惚れ.関係ないね.
小学校勤務をしていて,給食の話題はタイムリーだったので,ちょこっと質問をしてみた.
質問内容は「地産食材を利用すると給食費のコストがかさむのではないか?」というもの.
従来と同水準でできるということでした.
共同研究者の方からも「物流は従来と同じです」とコメントいただいた.
ふむ.「物流」はね.
個人的に知りたかったのは,その面も含めてのコスト.
システムがタダで回るわけはないのですよ.
そのコストを含めても,従来と同水準でいけるのかってこと.
最終的には,費用対効果の話になるわけで,きっと効果が勝るんだろうね.
面白いから,是非とも全国で導入されるように働きかけていって欲しいものです.
・2ZA-5 GISを用いた育児生活支援情報提供システムの構築(岩手県大)
岩手県立大学ソフトウェア情報学部の2本目.
どちらの発表者もよく練習しており,気合いの入れようが伺える.
こちらの発表者は素晴らしかった.
ハキハキとしゃべり,スライドも大変見やすく作られていた.
スライドに関しては,参考にする部分が多かったと思う.
2ZA-4も含めて,いろいろな(社会学的な)実験環境を持っていて,うらやましいなぁと思った.
我々のようなバリバリ工学の人間からすれば,試すことができる場があるだけで,うれしい.
ところで,コメント.
Google Map上にマーカーが立っていたのだが,そのカラーリングが悪い.
視覚情報に訴えかける重要性はご存じだと思うのだが,
カテゴライズしたグループを同系色でカラーリングするべきだっただろう.
「お祭り」と「イベント」は同カテゴリになるだろうから,同系色にするべきだろう.
画面例では,「イベント」か「お祭り」が「犯罪者(だったかな?)」と同系色だった.
恐らく,カラーリングは全く配慮していないのだろう.
そこまで詰めてあると,実用的にも優れていたと思う.
・2ZA-6 位置情報を考慮した看護業務の分析・可視化(奈良女子大/ATR)
業務内容を音声入力で記録するのが,難しかったそうだ.
今回の方式では「○○さんに××します」と明示的に録音する必要があったようだ.
そのため,ベテラン看護師は比較的しっかり記録されているのに,
新人看護師の記録がほとんど残っていなかったと説明していた.
その上で,「音声入力はこれが限界だろう」というような意見を述べていたが,私は全くそうは思わない.
このシステム上の欠陥は,ユーザ(看護師)に負担を強いていることだ.
明示的に記録を行わないと記録できないのは,ログ収集としては負担になる.
では,どう解決するか.
私の考えでは,全ての音声を全勤務時間で録音すればいいと思う.
イメージしてみよう.
病院で看護師はどのように話しかけてくるか?
看護師「○○さん.これから××しますからねー.ちょっと痛いですけど(以下ry」
どうだろうか?
特徴点抽出などの技術と併用して,「○○さん」から数秒を切り出せばいいのではないだろうか.
ほら!オレいいこと言った!
・2ZA-7 RFIDタグを用いた高齢者向けナビゲートシステム(阪工大)
明らかに関西人.訛りを抑えようとしているようだが,明らかに関西人.
よくわからない方言を使わなければ,訛っててもいいのにね!気にしないのに!
しゃべりは饒舌でありながら,滑舌もよく,大変聞きやすかった.ひきこまれる系だね.
ただ,プロジェクターの利用に関して,ノートPCの準備は万全にしておくべきだ.
セッション開始前に事前にチェックしておくことは,常識的な範囲だろう.
募集要項の講演機器に書いてあるように,解像度はXGA(1024x768)にしておく必要がある.
また,リフレッシュレートを60Hzにしておくべきである.
無用なトラブルを避けるために,確認事項を怠ってはならない.
内容についてコメント.
色弱者でも使えるようにユニバーサルデザインを心がけたと言っていた.
そのため,色弱者でも健常者と同じように認識できる「黄」を採用したと言っていた.
それはそれでいいのだが,案内図や結果の画面にその配慮がないのは何故だろうか?
ユーザの操作画面は配慮されているが,結果画面は配慮されていない.
あまりにも中途半端すぎるユニバーサルデザインに,ちょっとがっかりした.
以上,4件が興味深かったです.
もちろん,それ以外の発表も素晴らしく,レベルの高さを感じました.
学生セッションは一般セッションと違って,興味深い研究が多くて,飽きない.
学部生もどんどん発表したらいいのになぁと思う,今日この頃です.
学生非会員の講演参加費が高すぎるんだろうなぁ・・・
1万円以内にすれば,もっと発表が増えるんじゃないのかなぁ・・・