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IPSJ69 6S 参加報告 [ 研究 ]

第69回情報処理学会全国大会 データベースとメディア ユーザビリティ

6Sで当研究室の吉田君が発表を行ったので,聴講参加してきた.
畑違いのセッションだったので,そう感じたのかもしれないが,レベルの高いセッションだった.
活発に議論されているし,システムの完成度が高かった.
興味深い発表にコメントを.

6S-5 オンライン文書の閲覧時のアノテーションを用いた論文作成支援システム(名大)
前提条件がかなり厳しい.
XMLで書かれた論文なんて,どれ程の数があるのだろうか.
会場からの質問にもあったが「多くの論文はディジタルで入手できない」問題がある.
仮にも,XMLでなくても,PDFであれば,XMLに変換することは可能であろうが,
紙媒体の論文をOCRして,XMLにするとなると,かなり敷居が高くなる.
個人的な興味としては,TeXだったらどうなのか.
BiBTeXと連携させつつ・・・って話だと,論文作成をかなり支援できると思う.

6S-6 オンラインアノテーションに基づくビデオシーン検索(名大)
学生奨励賞受賞発表.妥当.異議なし.
予稿を見てビックリした.
ニコニコ動画インスパイア元の中の人の発表だった.
偶然にもこういった発表に遭遇すると,なかなか嬉しいぞ.

6S-7 WeC -携帯電話向けWebクリッピングシステム-(電通大)
同じような内容をどこかで見たことがある気がするけど,失念.
Web2.0的なWebサービスって煽りだったような気がする・・・失念.
Webページの必要な部分だけを切り取るというクリッピング技術.
会場からの質問で「切り取った部分にリンクが含まれてるが,飛んだ先はどうか?」とあった.
質問の意図としては,クリッピングされたページのリンク先は元のページだから,
リンク先はクリッピングされていないだろうという質問.効果が半減するよって話.
それに対する応答が「あくまでもリンク先は緊急時の対策なので,そのままです」って.
会場からのコメントで「リンク先も先読みでクリッピングできると良い」と言われていたが,
クリッピングするということは,そもそも必要な部分を断定して切り取っているわけだ.
それをオンデマンド的に行うというのは可能なのだろうか?疑問.
私だったら,pc2mのような携帯向け変換プロキシを通した方が便利に思える.
情報量と利便性の問題になるんだろう.
どっちがどう素敵かはわからない.
ただ,私ならpc2mを選ぶという話.

6S-9 携帯電話の電子メールを用いた、データベース操作システムの開発(茨城高専)
電子メールを利用しているため,携帯のキャリア依存がないという利点がある.
同様にして,PDAやPCでも利用可能ということだ.
その点について,会場から質問があった.
「電子メールは到着順が送信順になる保証がないし,届く保証もない」という質問.
サーバに届いてしまえば,到着順に処理されるだろうが,
そのサーバに至る経路をどのように通過するかは全くわからない.
そのため,送信したからといって,いつ届くのかはわからないし,そもそも届かないかもしれない.
至極当然のことである.
これについては,知らなかったようで返答に困っていた.勉強したらいいさ.

ところで,セキュリティの専門家として,適度に突っ込んでおく.
電子メールは認証も平文だし,内容も平文で流れる.
もちろん,暗号化は可能だし,セキュアな認証も可能であるが,それらは一般的ではない話である.
そういった中で,どのようにしてユーザ認証を行っているのだろうか?
説明がなかった(もしくは聞き逃した)ので,推測して書くと,DB選択はメールアドレスで行うのだろう.
例えば,SUKIYA_DBを操作する場合,[email protected]とでもするのかな?
DBへのアクセス権限の確認,つまり認証はどう行われるか?
恐らく,ユーザのメールアドレスが使われるんだろう.要するにFromね.
もしも,この推測が正しいとなると,誰でもアクセス可能ということになる.
何故ならば,Fromの偽装なんて,とても簡単に行える.なんといっても平文だ.
色々と改善点がありそうなので,さらに研究を続けていただきたいところです.


セッションで気になったことを書く.
共著者といえども,登壇者(恐らく第一著者)を差し置いて,議論することは許せない.
特に,学生セッションでは修士以下の学生が主役なのだから,慎むべきだ.
自分の研究を守りたいのかなんなのか知らないが,議論したいならセッションが終わってからやればいい.
もしくは,自分が発表すればいいじゃないか.
具体的な名前は挙げないが,該当者は発言を慎むべきだ.
質問やコメントならいざ知らず,登壇者をほったらかしにして,議論に火を入れないで欲しい.
本来ならば,座長が制するべきであるが,その座長も議論に参加してたから,困った.
あなた方のためにやってるセッションじゃないということを理解するべきだ.
学生セッションですよ?
一般セッションではよくあることだから,それが普通だと思ってるんですかね.

最後に,TeXで書かれた論文は見た目が美しい.
みんなもTeXで論文を書きましょう