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フォルダ構造の限界 [ ソフト技術, 記事 ]

努力をしてきたが,ダメなものはダメだ.
新しい世界を知ってしまうと,どうしても古い世界には戻れない.

フォルダ構造による分類は限界である.

論文を書く関係上,論文や資料を大量に保存することになる.
関連性の高いものは集中的に管理できるように,同じフォルダに集めている.
さらに,フォルダ名には日付情報を入れてある.時系列管理のために.

今,あるファイルをどこかに保存しようと考えた.
この論文は信学技法で発表されたもので,PKCやACといったキーワードを持つ.
さて,PC内のフォルダには,論文集・研究会報告・PKI・属性情報・暗号・セキュリティ・SSOといったフォルダがある.
さぁ.この論文をどこに保存しようか?
私は研究会報告とPKIと属性情報とセキュリティのフォルダに置きたいと考えている.
それはどのようにして実現するか.

1. 全てのフォルダにコピーを置く
2. どこかのフォルダに置き,ハードリンクを張る

1の方法では,整合性が保てない.
論文の例では上手く説明できないが,情報がアップデートされた場合,
全てのフォルダのファイルを置き換えて回らなくてはならない.非現実的.
2の方法はとても上手くいくが,ハードリンクを張る手間があるし,
どこに実体を置くのかという悩みがつきまとう.

タギングという言葉をご存じだろうか.
現在のご時世,聞いたことくらいはあるだろう.
Web2.0全盛期において,一世を風靡したフォークソノミーがそれである.
Gmailはてなブックマークで用いられている.

私とタギングの出会いはGmailになるわけだが,最初はその便利さがよく分からなかった.
しかし,その便利さは数日としないうちに明らかとなった.
Gmailはタギングを採用しているので,フォルダという概念がない.
全てのメールがフラットな状態で,タグが付与される.
必要に応じて,タグからのメール抽出が可能である.
例えば「研究室」タグを選べば,研究室関係のメールが抽出される.
例えば「国際会議」タグを選べば,国際会議関係のメールが抽出される.

ボスと国際会議の投稿についてのやりとりをしたとしよう.
このメールは「研究室」に分類するのか?「国際会議」に分類するのか?
従来のフォルダ構造であれば,悩み所であるが,
タギングなら,関係する全てのタグを付与すればいい.
考えるんじゃない.タグを付与するんだ!

ほぼ同様のことが全文検索によって実現されるが,それはなかなか難しい.
何故か.
対象が文章であるとは限らないからだ.
例えば,画像.例えば,音声.例えば,映像.
ファイル名にタグを付けておけばいいじゃないかという反論が出そうだ.
Windowsの場合,半角255文字まで大丈夫な設計らしいが,そうでもないらしい.
どっちにしても,ファイル名が長くなるのは美しくないし,一覧性が悪い.

で.ローカルのファイルに対して,タギングを行うソフトがあるようだ.
SPEED TAGというソフトなのだが,個人ライセンスは無償だ.
・・・・・・まだ試してないけど.

Windowsが標準でこの機能を提供してくれればいいのだが・・・
WinFSってのがそれだったような気がするけど,断念しちゃったよね.
難しいのかなぁ.
需要は高そうな気がするけど.