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大学教育に思うこと [ 思想 ]

オレは工学の人間なので,工学以外の分野は知らない.
他分野では違うかもしれないので,その辺はご愛敬.

大学は最先端を追いかける教育をしないといけないらしい.
最高学府ですから,そうあるのは,妥当であり,必須.
それについては,異論はない.
だが,最先端を教育するのが,最先端研究者というのは,どういう解釈か?
確かに,最先端研究者は,その道のスペシャリストであり,
最先端を実際に駆け抜けているパイオニアであるのは,間違いない.
だがしかしだ.
常々口にすることだが,優れた研究者が,優れた教育者とは限らない.
もちろん,その逆もまた然りだが.
しかし,一つ忘れてはならないことがある.
最先端教育は,最先端研究者以外ができないわけではない.
最先端の研究は,論文やら学会発表やらで,公知の事実になっているので,
教育で扱うレベル」においては,その分野の誰もができるはずである.
ポイントは,扱う範囲が「教育レベル」であるということ.
これが研究レベルとなると,最先端研究者の守備範囲だろう.

もちろん,最先端研究者の話は,重要だと思う.
大学としても,そういった研究者を教授として持つことに,意味がある.
それはよく分かる.
だが,教育面ではどうだろうか?
必ずしも,そうは感じない.
教育を行うべきは,教育意識のあるものであるべきだ.

ここのブログは所属が明らかなので,
公然と批判するとまずいので,控えめに批判する.

少なくとも,大学入門レベルの教育(当学科では2年まで)は,
教育に根差した教員(講師,助教授,教授)が行うべきだ.
高校でのゼネラルな教育が,
大学からスペシャルな教育に一変する.
その繋ぎの部分は,教育意識のある人が,
上層教育を目標に教育するべきではないのか.
大学入門レベルで,最先端研究者が,ガッツンガッツン授業をしても,
「言ってることが分からない」「分からないことが分からない」
という,本末転倒な事態になるのは,既知の事実だろう.
そういった,専門的な教育は,ある程度の基礎が身に付かないと,
何を話しているのかさえ分からないと言うことは,既に経験しているはずだ.

大学で教育すべき内容(カリキュラム)は決まってる.
それをどのように教育するべきか,という議論が欠如してないだろうか?
学生がどう思っているのか,
どうしたいと思っているのか,
どうされたいと思っているのか.
そういったことが,大学側には伝わっていないように思う.
時代のニーズだけでは,学生を確保できないことは,わかっているだろうに・・・

ウチの大学は,マンモス校だし,全国に付属校がある.
創設者は,素晴らしい教育観を持っていたと思う.
巨大私学の利点を最大限に生かして,
これからの大学教育の最先端を突っ走って欲しいと思っているのだが・・・

教育と研究と経営

難しい三つ巴だよね!