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卒論第1版を校閲して [ 教育, 研究 ]

ボスが忙しい忙しいと宣うので,卒論の校閲を行っている.
といっても,正式に校閲を依頼されているわけではなく,ボランティア.
さらにいえば,希望者のみ校閲を行っている.
自ら手を差し伸べるほど,お人好しではないのです.

まずは総論.
論文を書くなんて,初めてのことでしょう.
分からないことがいっぱいあるでしょう.
何故,わからないことをわからないままにしておくのか.
他の様々な論文を読んでもいいし,書き方を調べてもいい
「分からないことは調べない」
「誰かが指摘してくれるのを待つ」
そんな精神が滲み出ています.
書籍として,理科系の作文技術を推薦しておきます.必携.

また,論文の書き方以前の問題として,日本語が不自由すぎる.
オレも美しい日本語を操るわけではないので,偉そうにはいえないのだが,
主語と述語の対応関係はハッキリとさせるべきである.
恐らく,考えて文章を書いていないのだろう.
接続詞であれもこれもとくっつけてしまい,主語がなんであったかを忘れている.
ここに典型的な一例を示す.みんなは平気か?
「本システムは(中略)を提案する」
「本システム」が「提案する」のか??
じゃぁ,あなたは何をしたのか?と小一時間問いつめたい.
正しくはこうだ.
「私たちは(中略)を提案する」
「本稿では(中略)を提案する」
こういった方々には,「超」文章法をお勧めします.必読!

なお,上に挙げた2冊は研究室の書棚に鎮座しております.
昨年度末に駄々をこねて買ってもらったものである.


・QR班
全編校閲済.
提案方式がどのようなものであるのかが明確に書かれていなかった.
実験を行った結果による評価が書かれているのだが,
実験内容の詳細がどこにも書かれていない.
また,評価に至っては,ユーザからの客観的評価と提案者の主観的評価が,
一緒くたに書かれており,評価を濁していた.ヒドイ.
話の論理的な展開がでたらめ.
結文が何故か「卒研をやってみて」的な作文になってた.

・AC班
未校閲.

・POGO班
一部校閲済.
9月にはシステムが完成しており,仕様書・マニュアル類も充実しているので,
卒論も問題なく書き上げているだろうと期待していたのだが,現実は違った.
長い用語を略記するときは,1度示せばよい.
出てくる度に「長い用語(略記)」と繰り返しており,何のための略記か分からない.
文章の論理的な展開が不十分.
「何故?」「なんの?」「なにに?」「誰が?」「どの?」
などを曖昧にしており,誤読の可能性が高い.
ユーザ側からみた利用方法の説明(いわゆる操作マニュアル)と,
システム側からみた機能や構成の説明(いわゆる仕様書)の区別が付いていない.
機能説明をするべき場所に,「こういうときはこうする」的なFAQが書いてある.
未定義の用語が満載で,何を指し示しているのかがわからない.
また,用語や表記法の揺らぎが多すぎる.
MSワードで書いてるんだったら,指摘されるんじゃないのかね?

・検索班
一部校閲済.
謎の空行が大量にあった.
題字と思われるが,節にも項にもなっていない,謎の文字列が大量にあった.
揺らぎもあり,全角・半角の統一も不十分.
カギ括弧付文字列がとにかく多い.それは強調するべき部分か?
箇条書きと思われる部分が,平に書かれている.
口語体や口語表現が多い.
極めつけとして,提案方式を説明する章で,提案方式は説明されていなかった.
一番気になったのは,パラグラフの多さ.
1文しかないパラグラフが大量にあった.
パラグラフについては,以下が参考になる.
パラグラフの書き方 段落のまとめ方 paragraph writing editin
パラグラフを書く
パラグラフ


・まとめ
読まれることを強く意識して書く.
論文であることを意識し,文語体で書く.
主語と述語の関係を意識する.
図表の説明をする.
読者が誤読しない展開で書く.
揺らぎを気にする.
そもそも,しっかりと推敲する.