修論の中間発表会があったから,参加してみた.
あんまり質問しなかった.
中間発表なので,個別に取り上げて,どうこうコメントする.
・RSA Accumulatorを用いて署名長を削減した墨塗り署名スキームの提案
署名生成で
e_i = H(m_i || r_i || i)
で,e_iが素数となるようなr_iを求めるらしい.Hはハッシュ関数.
どうやって,r_iを探すのかなぁと思ったら,力業らしい.
署名生成時のコストは気にしない方向らしい.
ふむ.
ただ,ハッシュ関数を通しているから,狙って素数を作れるわけではないような気がする.
ハッシュ長が長くて,運が悪いと計算時間が長そうな気がする.
って思っただけ.
あと,この分野は詳しくないんだけど,署名の長期保存とかって考慮しなくてもいいのかしら?
・ゼロ知識証明を用いた安全なリモート生体認証プロトコル ZeroBio
一番わかりやすい発表だったかなと.
内容的には量が多いのだが,発表はわかりやすくまとめられており,要点は理解できる.
今回発表された中で一番聞いてるからという可能性もあるけど.
ニューラルネットは被認証者が本人か他人かしか返さないらしい.
となると,ユーザ数に比例して,ニューラルネットの数が増えることになる.
これって,データセットとしてはかなりの量になると思うんだけど,そんなもんなのかしら.
従来手法もこんなにデータ量が多いのかな?
なんだか生体認証って大変.
・ハプティックデバイスを用いたスキルキャプチャに関する研究
よく分からない.
参考文献も関連研究も提示されていないので,なんともかんとも.
片岡先生の質問と重複するが,これによるスキル獲得が,実際にどれほど有効か.
ハプティックインタフェイスを用いて操作をすることで,実際に現実空間に何かが作成できることと,
仮想空間上にしか作成できないのでは,実スキルの獲得に差異があると思う.
で.よく分からなくなったのは,この質問に対する返答.
このシステムで修得できるのは,要するに「テクニックFAQ」らしい.
あれ?
それって,ハプティックインタフェイスを使わないとできないこと?
マルチアングルで撮影したDVDを見せるのとはどう違うの?
「ハプティックインタフェイスを用いた」となっているんだから,それによる利点を示して欲しい.
あとは個別に述べなくても良いか.
とりあえず,発表練習をしていない人が多すぎる.
発表練習したのかも知れないが,全く意味をなしていないから,改善するべき.
・プロジェクタへの接続確認
講演者はセッション開始前にプロジェクタへの接続確認を行っておかなければならない.
ちゃんと表示できないとか,表示されないとか,上下逆とか,無配慮すぎ.
そうやって時間を後ろに押すと,発表者以外の全ての人に迷惑がかかる.
なぜならば,そうやって失った時間は講演者の発表時間には含まれないからだ.
・発表時間
発表時間を大きくはみ出す人は,一体何なのだろうか.
10分発表だと決められているのに,それを平然とはみ出す.
前半の研究背景等を丁寧に説明しすぎて,時間がはみ出すと,
急ぎ足に説明をし始めるから,後半の重要な部分が全然分からない.
研究背景の発表をしているのか,研究の発表をしているのか.
悲劇パターン2である.
・発表時間と発表内容
発表時間10分,質疑5分と決められている.
それが修論中間発表として妥当であるかどうかは別として,
決められた時間の中で,自分の研究を説明しなくてはならない.
ETSSの発表がその最たる例だが,背景の説明に終始し,どこが自分の研究か分からない.
「10分しか時間がなく,この説明をしなくてはならなかった」
というのは言い訳に過ぎず,決められた時間内で自分の研究を説明しなくてはならない.
それができないのならば,その発表内容は余計なものを多く含みすぎているか,
完全に逃げているかのどちらかだろう.
・予稿の書き方
題字はゴシック.
参考文献の書き方が不十分.
などなど,指導教員がしっかり教育するべき.
TeXを使ってる菊池研の美しさは異常.
そう見えてしまう予稿集.
コメント (2)
> ハッシュ長が長くて,運が悪いと計算時間が長そうな気がする.
理論的には、ハッシュ関数の出力ビット長ぐらいの回数だけ r_i を取り替えればOKです。現実的か否かの境界線上ですね。
> あと,この分野は詳しくないんだけど,署名の長期保存とかって考慮しなくてもいいのかしら?
考慮しないですねぇ。インフラの問題なので。
Posted by: 杜撰な研究者 | 2007年09月27日 12:00
コメントありがとうございます.
ブログ読ませていただいてます.
署名の勉強も一生懸命させていただきます><
Posted by: Yocchan | 2007年09月27日 21:56