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教育・情報システム論文執筆ワークショップ in FIT2007 [ レビュー, 教育, 研究 ]

教育・情報システム論文執筆ワークショップの参加報告兼まとめ.
内容については第3回IS論文執筆ワークショップと大差ないので,真新しいことはなかった.
資料はFITのページから取れるようになっているので,是非ともご一読を.(注※PDFです)

主な要点をまとめるならば,投稿者は以下のことに気をつけるべきである.
- 新規性を明確に主張する.
+ その裏付けとして,サーベイが必要.しっかり調べる.
- 有効性/有用性を明確に主張する.
+ 狭いドメインでも有効性があるものは評価されるべき.
+ ただ,他への応用を要求される?
- 信頼性を明確に主張する.
+ 結論に至った根拠を明確に述べる.
+ 論理展開を飛躍させない.
- 論文は1つのストーリーになるように章構成を考える.
+ 章節項の見出しで内容を把握できるようにする.
+ 同じ文言が繰返し現れる場合は,構成を見直せ(正にオレ).
- 提案システムのカタログを書かない.
+ 仕様書・説明書に終始し,新規性・有用性・信頼性が明確ではない.


査読者側の話もありましたが,査読者になるなんて何十年後のことか・・・
とりあえず,投稿者側からしてみれば,査読基準は遵守していただきたい.
金田先生のお話しでは,査読者が査読基準を理解していないという指摘がありました.
引用しますが,IEICEの和文論文誌投稿のしおり(通信ソサイエティ)より.

4.投稿原稿の取り扱い
 査読では,新規性・有効性・信頼性・了解性の四つの項目が判定される.
4.1 査読の基準
4.1.1理論実験論文及びシステム開発・ソフトウエア開発論文の場合

(1) 新規性:論文の内容に著者の新規性があること.
(2) 有効性:論文の内容が学術や産業の発展に何らかの意味で役立つものであること.
(3) 信頼性:論文の内容が読者から見て信頼のおけるものであること.
(4) 了解性:論旨の展開が十分理解しやすく、順序立てて明瞭に記述してあること.

 ただし,システム開発・ソフトウェア開発論文では,通常の新規性・有効性・信頼性がある場合はもちろんのこと,下記のような場合も条件を満たすと判定される.

・ 新規性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,既存の技術の組合せによる開発であることがあるが,そのような場合は,組合せの理由が新規性の対象となり得る.
・ 有効性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,開発した結果が従来と比べて総合的あるいは部分的に優れており,また他のシステムに応用可能であれば,有効性があると判断される.
・ 信頼性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,他のシステムに応用可能であるように記述してあれば, それが内容の信頼性につながる.

 なお,システム開発・ソフトウェア開発論文に限らず,論文一般に関して,有効性が高い場合は,新規性はさほど高くなくても採録の対象となる
 また,新規性が高い場合は,信頼性はさほど高くなくても採録の対象となり,了解性を余り厳しく求めることはしないものとする

となっており,必ずしも,

(新規性 and 有効性) and 信頼性

ではないのに,その3点全てが要求されており,ISとしては厳しいという話をされていた.
同様にして,IEICEの和文論文誌投稿のしおり(情報・システムソサイエティ)ではこう書かれている.

4.投稿原稿の取り扱い
4.1 査読の基準
 基本的に,次の3条件について査読を行う.

(1) 新規性:投稿の内容に著者の新規性があること.
(2) 有効性:投稿の内容が学術や産業の発展に役立つものであること.
(3) 信頼性:投稿の内容が読者から見て信用できるものであること.

 信頼性については必須の要件であるが,新規性と有効性についてはいずれかが高ければ採録の対象となる.すなわち,新規性が高い場合は,有効性はさほど高くなくても採録の対象となり,有効性が高い場合は,新規性がさほど高くなくても採録の対象となる

なお,IPSJでは執筆案内に以下のように書いている.

2.4.投稿原稿の取扱い
(5)投稿論文およびテクニカルノートは、次の場合に不採録とする。
a. 本学会で扱う分野と大きくかけ離れている。
b. 本質的な点で誤りがある。
c. 本質的な点が公知・既発表のものに含まれており、新規性が不明確である。
d. 内容に信頼できる根拠が示されていない
e. 本学会関連の学術や技術の発展のための有効性が不明確である。
f. 書き方、議論の進め方などに不明確な点が多く、内容の把握が困難である。
g. 条件付採録で示した条件が満たされていない。(投稿論文のみ適用)
h. その他編集委員会が不適当と判定したもの。

つまり,IPSJは

新規性 and 有効性 and 信頼性

であると言っているように聞こえる.
で.それがIS的には厳しいよねって.
でも,現実はこうだから,しっかり書きましょうって話.厳しい><


午後は例によって例の如く,献体を使った査読体験.
午後は何故か聴講者ではなく,IS側としてお仕事してました.
献体論文は40部準備したんですが,全然足りなかったですね.
裏番組にアイスフィギュアが入ってたりして,参加者不足が懸念されましたが,大入りで良かったですね.

さて,ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが,オレ,献体論文の著者の1人です.
オレが書いたものではありませんが(逃げ道を準備してみる).
奥村先生のご指摘にある程,よくできたサンプルであったかどうかは甚だ疑問です.
本来,献体はギブアンドテイクになるべきなのですが,
今回は我々が皆様のコメントを一方的にテイクして,査読体験として十分なギブが与えられたか疑問です.
多くのコメントがほぼ同一の指摘に集約され,議論のタネにもならなかったような・・・
皆様の有難い査読コメントは神沼先生からの特命により,私が全て記録させていただきました.
今後の論文執筆ワークショップに活かされることが期待されます.


戯言
SSS2007ではMacが多かったそうです.
FITのワークショップではLet's NOTEがいっぱいありました.
オレの周りもLet's NOTEが多いなぁ・・・カラー天板が羨ましい><
ワークショップはISとCEの共催だったけど,Macは見かけなかったような・・・出してなかっただけ?
Macユーザって,どういうコミュニティの人が多いんだろう?