12月2日(土)13:30から,第2回辻・山本研合同卒研中間発表会が行われました.
ヘタレDの役目として,正式にコメント.
前半の部:
・地域活性化情報配信システム
問題設定と解決手法がかみ合わない.
問題点を「不必要な情報が配信されてくる」ことによって「地域活性化が進まない」としていた.
それで,これを解決する手法を提案するとしていた.
「a→b」であっても「¬a→¬b」とは限らないことを考慮しているかな?
で.解決手法の1つに「ランダム配信」というものがあって,
1. あるユーザに情報を配信し(欲しい情報かどうかは関係なく)
2. 他のユーザには配信されないので
3. 情報を知りたいユーザは配信されているユーザにアクセスし,配信してもらう
という仕組みらしい.
恐らく,ランダムに配信されてくる情報は「不必要な情報」ではないのか.
もう1点,他のユーザはそういう情報があることをどうやって知るのか?
もし知ったとして,わざわざ取りに行った情報が期待値以下だったときの絶望感は想像に難くない.
・携帯電話用ステガノグラフィアプリケーションの開発
「携帯電話用のステガノグラフィがない」というのが目的に書いてあった.
で.見ていったら,それはどうでもいいことが判明した.
要するには,顔文字は122種類あるから,2バイト文字の上位バイトと下位バイトをそれぞれを顔文字で置き換えようってことらしい.
で,区点コードを用いると,区画が94で各区画が100だから,収まりがいいようだ.
だがしかし.
それは単なるマッピングであって,全然ステガノグラフィじゃない.→勘違いでした><
容易に解読可能だし,携帯電話にアプリ実装するなら,絵文字ではなく,完全な暗号文でいいのではないかと.
・図形入力による新認証方式の提案
「明日から使える新システム」を前面に出していたが,そうは問屋が卸さない.
マイ認証(リンク先はpdf)のようなインタフェイスを準備しなくてはリプレースできないのが現状だ.
操作インタフェイスがキーボードからマウスに変わった程度では,自動化攻撃は防げない.
特に,白地に黒点のような条件下では,明らかにOCRが有効であると思われる.
OCRができてしまえば,キャプチャと併用すれば,攻撃可能と思われる.
関連情報:パスワード・ポリシーについて――“長さ”か“複雑さ”か:ITpro
・映画レコメンドシステムの実装と評価
実験データがどれだけ重要なのかを認識できてない脳.
クロス集計等ができるように属性情報を残しておかず,「どの映画が何点か」しか残っていない.
だから,悪意あるユーザが混じっていても,そのデータを除外できない.検定もできない.
富田さんの指摘はとても重要で,属性情報の提示の仕方が悪い.
性別の比率を円グラフで示す必要性が,一体どこにあるのかを検討した方がいい.
映画Aは10人に評価されていて,映画Bは2人にしか評価されてないけど,
提案方式でブランクを補完するとそんなに大差ないね.
って評価分析で言うんじゃないの?
これじゃ言えないよ?
・IDSにおける誤検知を減らすためのルール設定
よく分からなかった.
DVDを見返してみたけど,やっぱり分からなかった.
とりあえず,「IDSログからFWルールを作る」だと思っていたオレの理解は間違い.
・ICカードを用いたポイントカードシステム
サーバを使わずに,ICカード内で完結させるのが売りのようだ.
だとすると,全情報がICカード内に入っているので,紛失するとポイントが消失する.
従来の磁気カードでは再発行が可能である点から見れば,大幅な性能低下だ.
参考:ヨドバシ,ビック.
格納するデータもポイントカードはポイントカードの領域として設定し,その中に全ての店舗情報が入るらしい.
だから,領域を暗号化しても他の店舗で見られてしまうと言っていたが,領域を分ければいいだけでは?
思うには,どうしてもICカードが使いたいなら,サーバ方式にして,ICカードのユニークなIDで紐付ける方法はどうなのだろうか.
こっちの方がよっぽどカードの共通化は簡単だと思うのだが・・・
後半の部:
・新しいゲームコミュニティの提案
店舗専用掲示板がサービスを受けた人しか使えないのは解せない.
非常に閉鎖的で,コミュニティの形成が行われるとは思えない.
きっと「ガイル使い!待ってんじゃねーぞ!」とか,書かれそう.
質問でオレが言っていた話はナムコのポストペイドシステムのこと.
鉄拳2の初代チャンピオンが言うんだから,間違いない!
・モバイルFeliCaを利用したスーパーやデパート等の駐車場の割引システム
スーパーって・・・スーパーマーケットじゃないの??
チェックポイント方式で,店内数カ所を巡り歩くと,駐車場割引やクーポンがもらえるという仕組み.
つまり,店内数カ所を巡り歩く対価に相応しい割引率を設定しないで,一体何人を釣れるだろうか?
上手く釣れたとなると,それなりの割引率だろうから,割引のために巡り歩く人も出るだろう.
そこを突き詰めれば,今までは5000円で1時間無料だったのに,それよりも有利になるかも知れない.
買い物をしなくても,安く駐車できる便利な駐車スペースになるかも知れない.
そういうこと.
広告で釣るということは,それなりの対価をペイしないといけない.
そう簡単に客は釣れないよ.
それから,駐車券にQRコード(いろんな情報入り)を書くよりも,精算機に駐車券を入れて,
さっさとFeliCaの中に情報を移してしまえばいいのではないだろうか?
精算時にはFeliCaを使って駐車券は使わないと言っていたのだから,尚更のこと.
また入店やチェックポイント通過の情報をFeliCa端末ではなくサーバに格納すれば,
アプリのダウンロードすら必要じゃなくなると思うのだが,如何なものだろうか.
・ICカード(FeliCa)を用いた個人認証付き出席管理システム
何のために出席管理をするのかをもう1度考えるべきである.
学生が考える出席調査の意味は大幅に取り違えている.
学生のために取っているのではなく,教学への証拠のために取っているのだ(事実).
関連:
ICカードで出席管理 | Okumura's Blog
oogakinetの情報処理技術備忘録 2007年5月
ヘタレ系DのBlog: 出席管理
ヘタレ系DのBlog: 続・青森大の「携帯電話での出欠確認システム」
・訪問介護の時間管理システム
「いつ,誰が,誰に,何をしたか」を瞬時に把握,管理するらしい.
山本先生の指摘の通り,作業内容の不正申告が容易であり,発見が困難.
・ICカードを用いたアレルギー情報管理システム
このシステムが実現されるためには郊外の巨大店舗じゃないと厳しい.
全ての客がカートを引いて回れるような設計の店舗が日本にどれだけあるだろうか.
商品棚に電子ペーパで情報を表示する方が狭い日本にあっているような気がする.
商品棚に設置されたQRコードを読み取る案も示されていたが,それは商品に付けておくべき.
理由はICタグやRFIDタグに比べて,コストがほぼ0に近いから.
・ICカードを利用した病院システム
自由診療ならいざ知らず,保健医療の範囲で割引制度は厳しいものがあると思う.
割引制度が回るんだとすれば,保険から還付金を受け取ればいいだけの話.
思うには,小病院は小病院であるが故に,電子カルテではないような・・・
紹介状の話も腑に落ちない.
健康情報の話も無理だと思う.
医者は自分が調べたことしか信じないし,医療点数稼ぎのためには再検査すると思う.
「このシステムを採用しても現状のシステムよりも悪くなることはない」と述べているが,
健康情報がICカードに記録されているなら,健康情報というプライバシ情報が漏れることになる.
・RFIDを用いた位置情報サービス
どの辺が位置情報サービスなのかが分からない.
RFIDは位置情報を持たないから,RFIDリーダが位置情報を持てばいいのかな?
そもそも,RFIDだから,誰でもデータをスキャン可能.
RFIDに含まれる情報は個人IDだけで「名前・住所等」は入っていないと言っても,
誰でもスキャンできるということは,「個人ID=誰々」を特定した上でトレースができるし,
個人が特定できなくても,「あるIDが毎日何時にどこを通る」という情報で十分かも知れない.
誘拐犯の待ち伏せリスクを軽減できます.
関連:
高石市の全小学校でRFID | Okumura's Blog
ココセコム | Okumura's Blog
高木浩光@自宅の日記 - RFIDタグ搭載ランドセルの校門通過記録で仲良しグループを割り出すという小学校教諭の発想は普通?
謝辞:
大原研から富田さんが後輩2名を連れて,発表会前半に参加して下さいました.
活発な質疑をしていただき,誠に感謝いたします.
雑感:
卒研生からの質問がほとんどありませんでした.
分からないことがあるなら,積極的に質問して欲しい.
質問が出ないということは,発表内容に興味を持たれていない(聞いてない)のと同義.
オレですら分からないことが満載なんだから,卒研生だったらチンプンカンプンのはず.
分からないことがあるなら,積極的に質問して欲しい.
卒研生は,寝てたり,喋ってたり,一体何なのかと.
M1が度々注意をしていたが,注意をされないと分からないのかと.
そもそも,2回も同じことを注意されるなんて,どれだけ学習能力が低いアメーバなのかと.
新社会人として恥ずかしいから,卒業しない方がいい.
発表会の仕切りはM1がやってましたが,及第点だと思う.
ベルの時間が書いてなかったのは,今後の課題.
たぶん気付いていないだろうから指摘.
質問者の声が聞こえません.
特に,前に座っている人は発表者に聞こえるようにしか喋らないので,後ろには聞こえません.
マイクを使うべき質問者は会場の後ろではなく,前の人たちです.
でなくば,会場全体に聞こえるように質問するべし.