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単位とは [ 教育 ]

皆さんは単位の定義をご存じだろうか.
ここでいう単位というのは,メートルやグラムのことではなく,
大学の授業科目における単位である.

一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成する

これは大学設置基準第二十一条によって基準が示されている.
つまり,大学設置基準に則って設置された大学ならば,この基準に従っているはずである.
大学設置基準は「日本で大学を設置するのに必要な最低の基準を定めた法令」であるので,
日本の大学で大学設置基準に従っていない大学はないはずである.
つまり,東京大学でも,東海大学でも,この基準以下ということは有り得ない.
1単位は45時間の学修を必要としているのだ.

では,本学のカリキュラムに適用して考えてみよう.
本学はセメスター制を採用している.
1セメスターは15週となっているようだ.
均等配分をするならば,1単位は毎週3時間の学修を要することになる.
授業は90分1コマなので,90分は授業以外に勉強する必要があるわけだ.毎週な.

1単位の科目が少ないからイメージが湧かないだろうか.
では,2単位科目を例に挙げようか.
本学科では,1コマ2単位の科目が多いだろう.
また,1セメスターは15週でも,講義期間は12週相当であるので,それも加味しよう.
2単位を修得するには,90時間の学修を要することになる.
講義が90分1コマで12週行われたとして,1080分.
つまり,18時間だ.
講義以外の学修として,72時間の学修を必要とするようだ.
72時間を15週で均等配分するならば,4.8時間だ.
わかるだろうか?
1コマ2単位を修得するためには,毎週5時間の予習・復習を必要としている.

スケールを変えよう.
本学の1セメスター履修上限は24単位に設定されている.
1セメスタ15週,1コマ90分,2コマ4単位と仮定しよう.
24単位を修得するのに必要な学修時間は,1080時間.
15週で均等配分すると,毎週72時間の学修を要する.
時間リソースは全ての人に平等で,かつ有限であり,不変である.
1週間は168時間である.
実に,1週間の43%は勉強に費やさなくてはならない.

いや,この計算には睡眠時間が考慮されていない.
平均睡眠時間6時間で計算するならば,有効な時間は126時間に減る.
1週間で寝ていない時間が126時間の場合,実に57%の時間は勉強しているのだ.
忘れてはならない.
126時間の中には,トイレ・風呂・登下校時間・着替え・歯磨き・談笑などなど,
そういった諸事に要する時間は全く含まれていない.
逆に考えよう.
毎週72時間の学修が必要なので,残る時間は54時間である.
僅か54時間である.

よく考えていただきたい.
単位の基準がこのようになっている以上,
風邪をひいて寝込んだり,バイトをしたり,遊びに行ったり,サークル活動したり・・・
毎週72時間の学修時間を工面することができなかった場合,
単位を落としたとしても,致し方ないことだとは思わないだろうか.

別に,風邪をひくなとか,バイトをするなとか,遊ぶなとか,常に勉強しろとか,
そういうことを言いたいわけではない.
1単位は45時間の学修を要するが,その内容や質の基準がない.
つまり,誰を基準として45時間分なのかがわからない.
そこはそれ.標準的という言葉で誤魔化されるのだ.
普通ってなんだ?
ですので,当然ながら,45時間も学修せずとも,単位修得に足る学修を得ることは可能である.
その逆もまた然りであり,45時間では不十分かもしれない.
絶対に45時間分の勉強をしなさいと言っているわけではない.
あくまで,45時間相当の勉強をしないならば,単位が取れないかもね,と言っているのだ.

皆さんは自分を見つめ直しましょう.
修得しようとしている単位に見合った勉強をしていますか?
予習・復習をしていますか?
講義の時間だけでは,学修不足ですよ?
自学自習はしていますか?

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