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中退を防ぐ政策は私学の利己 [ 教育, 記事 ]

asahi.com:中退防ぐ「親身な指導」 学生の生活面も支援 - 全入時代 - 大学 - 教育

「優しく接すること」も「手取り足取り」も「親切心」もどれもこれもが教育の切り札ではない.
ましてや,最高学府である大学の教育としてはどれもこれもが間違っている.
そんな最高学府なんて消え去ってしまえ.

授業のために教室へやってきた教員が、スーパーのレジ係が使うような端末を持っている。学生を1人ずつ順に回ったり、端末を学生の間で回したりして、学生証のバーコードを読み取っていく。

「授業のために教室へやってきた教員」が授業そっちのけで出欠確認に勤しんでおられるようだ.
この出欠確認で一体どれだけの授業時間を削減しているのだろうか?
それとも,授業開始前に出欠確認を行うのだろうか?
時間通りに来るなんて,優秀な学生達です.誉れ.

担任はデータを細かくチェック。学生が3回続けて授業を休むと携帯電話などに連絡し、面談もする。原則として毎週水曜日の1コマ目には学科ごとに会議を開き、担任が「要注意」学生を報告する。情報を共有し、担任以外の教員も目配りするためだ。

恐るべき監視下.
3回続けて休むというのは同一授業においてのことだろうか?
そうでないとしたら,おちおち旅行にも行けないではないか.
電話をしたり,面談をしたりして,一体なにをするのだろうか?
「今日の授業を休みましたね.明日は必ず来てください」とでも言うのだろうか?
それとも「何故授業を休んだんですか?」とでも問うのだろうか?
たった3回休んだだけで,過剰に反応しすぎである.

どんな教員がいるのかしらないが,大学教員なので教員免許は持っていないだろう.
そんな教員達に「あいつは要注意だ」というお触れが発せられ,
たまに授業に来てみたら,各先生に問いつめられたり,視線が針のむしろだったりで,
不登校予備軍の学生はさらに萎縮してしまうではないだろうか.可能性の提示.
担任がいるのなら,担任がフォローするべきだと思う.
情報は共有するべきだが,教員一丸となってというのは間違っている.

「がんの早期発見と同じですよ」。担任として今春、初めて学生を送り出した信山克義講師(34)は話す。

がん」www
中退予備軍の学生は悪性腫瘍らしいですw
摘出が必要ですねっ!
QoLや終末期ケアもお忘れ無く.皮肉だよ.
One rotten apple can spoil the barrel.
金八先生を涙ながらに見るべきですね.

「2年の時は遊びとアルバイトで月に1、2回しか大学に行かなかった」。3年に進めなかったが、2学年分の単位をまとめて取れば「飛び進級」できる制度を使い、在学4年で卒業した。

どんなウルトラテクニック!?
月1,2回しか来ていなかった学生が,突然2学年分の単位を修得できると?
単位がなんたるかをしっているのだろうか
オレがこの制度を利用したら2年で卒業してしまいそうですね.

「もしもし。どうしてかかってきたか、わかる?」

「ぼぼぼ,ぼく,まだ何も悪いことしてないよ?」

登校する意欲はあるが、朝どうしても起きられない学生に励ましの電話をかけることも。休んだら欠席届を書くよう指導して「休む方が面倒だ」という気にさせる。

多分にそれは睡眠リズム障害だと思いますよ.
素人判断は危険なので心療内科等を受診するように勧めるべきでしょう.
休んだら欠席届を書くように指導するのはいいと思う.
確かに,面倒に感じると思います.
今時の学生は面倒に感じたら,無視すると思いますけどね.
それを指導できてるのは素晴らしいと単純に思う.
でも,「休む方が面倒→登校する」っていう論理は如何なものだろうか.

また,時間ができたときに別エントリを書く予定だが,何故大学生は欠席を連絡しないだろうか?
幼稚園も小学校も中学校も高校も,休むときは連絡をしていたはずだ.
そして,社会人になれば,会社に欠勤の連絡を入れるだろう.
何故,大学だけは連絡無しに無断で休むのだろうか.理解できない.
オレはどこに連絡をして良いのか分からなかったから,休んだことはない.そういう根性.


まとめ.
最高学府に似つかわしくない学生が大量に流入しているのだ.
それが全入時代と呼ばれる現在.
本来ならば,最高学府に相応しいものだけを入学させるべきなのだが,
そんなことをしたら,恐らく日本の大学の90%は倒産するだろう.
だって,そうでしょ?
本当に学習意欲がある学生なんて,ほんの一握りなんですから.

特に,私学は厳しい現実がある.
優秀な学生のみを集めて,最高学府足るに相応しい環境を準備したとしても,
学生数が少なければ経営が回らないのである.
理想を追求しても,それを実現できないのが私学.国立も同じか.

だからといって,甘やかしていいという結論にはならない.
入学後1年を費やしてでも,徹底的に自立心を育て上げ,向上心を芽生えさせなくてはならない.
それ如きもできないのに,最高学府足る教育が出来得るはずがない.
学問はそんなに志が低いものになってしまったのか.

大学は教育の最高学府であるのだから,教育されて然り.
教育されたくないのならば,大学になんて来なければいい.
大学は義務教育ではないし,そもそも高校だって義務教育ではない.
なんて議論をし始めると,決まってこういうことをいう人がいる.
「実質的に大卒じゃないと就職が厳しい」
結果だけを求めて,過程を顧みない人間の典型である.愚劣.

類似にこのようなものもある.
就職は決まったらしいのだが,卒研を全くしていない学生が,こういう.
「4月からの就職が決まっているから,卒業させてもらわないと困る」
困るのならば,自分がしっかりとすればいいだけの話であって,
大学に責任を押しつけるのは論外だ.笑止.

大学を卒業したいなら,大学の基準をクリアするべきである.
「忙しい」とか「めんどくさい」とか「眠い」とか「つまらない」とかいうなら,来なければいい.
なんでものうのうと暮らしていればいいと思わせておくのが悪い.
求めなくては得られないものがあることを知らしめなくてはならない.